青い空、透き通る海、照りつける太陽…沖縄旅行といえば、夏の海を思い浮かべる人も多いでしょう。では、冬の沖縄についてご存じでしょうか。沖縄の冬は、夏とはまた違った魅力がたくさんあります。あまり知られていない冬のビーチやダイビングなど、オフシーズンの沖縄を最大限楽しむコツをご紹介します。
冬の沖縄ってどれくらい寒いのでしょうか。12~2月の最高気温は平均すると20度くらいです。同じ時期の東京の最高気温と比べても10度ほどの差があり、数字だけみるとかなり暖かいように思えますよね。沖縄は四方を海に囲まれる島なので、海から吹く風が強く、実際の体感はもう少し低めです。しかし、日中は半袖でも歩けるくらい暖かい日もあるので、比較的過ごしやすいといえます。では、海水温はどうでしょうか。平均水温をみていくと、徐々に寒くなってくる12月は23度、一番寒い時期の1~3月は21~22度くらいとなっていることから、意外と水温は高いということがわかります。
海水浴もできそうに感じますが、この時期の海は北風の影響で荒れやすいのでおすすめできません。泳ぐなら、残暑のある10~11月にかけての期間が台風も来る心配がなくておすすめです。ただし、この時期に泳いでいるのは観光客が多く、地元の人はあまり泳いでいません。県外の人にとっては十分に楽しめる気候でも、地元の人にとってはもう海水浴シーズンではないという認識なのですね。
沖縄の海は冬でも海水温が高めですが、11~3月くらいまでの期間は多くのビーチが遊泳禁止になり、監視員もいなくなります。海水浴はできなくなってしまいますが、逆にこの時期だからこそおすすめしたいのはスキューバダイビングやシュノーケリングです。気温と水温に合わせて保温性があるウェットスーツ、もしくはドライスーツを着用するため、冬でも寒さを気にしないで十分に楽しむことができます。また、冬の海ならではのメリットも多くあります。
ひとつは、オフシーズンなので混雑していないことです。海への移動やシャワーなどの施設利用もスムーズに行えるため、ゆったりとした気持ちで楽しむことができます。ガイドの目が届きやすいという安心感もありますね。また、人の多い時期は海底の砂が舞い上がったり、ダイバーの吐く息(気泡)で視界が悪くなったりすることがあります。しかし、冬期だと人が少ないため、海水の透明度が上がり、クリアな視界で海中散歩を楽しむことができるでしょう。
もうひとつのメリットは、夏には見られない海の生物に出会えるということです。沖縄には数々のダイビングスポットがありますが、なかでも特に人気が高いのは恩納村の「青の洞窟」。夏にはあまり見かけることが少ないウミウシやグルクマの群れ、コブシメなどを見ることができます。青の洞窟にいる魚たちは人に慣れていて、なんと魚の方から寄ってきてくれます。人の少ない人気スポットで、魚たちをゆっくり観察できるなんてすてきですよね。
ホエールウォッチングは、冬の沖縄ならではのアクティビティです。ホエールウォッチングとは、クジラが出現するスポットまで船で行って観察ができるツアーのことです。沖縄以外にも北海道など日本のいくつかの場所で体験できますが、野生動物ゆえに、行けば絶対にクジラに出会えるとは限りません。しかし、沖縄のホエールウォッチングはなんと遭遇率98%です。なぜこのような高確率なのかというと、ツアー会社や漁業組合などが連携して、クジラの出現ポイントの情報を無線で共有しているからなのです。ホエールウォッチングができる時期は12下旬~3月の冬期ですが、2~3月が最も多く見られる時期です。
主に見られるエリアは、那覇の西方約40kmに広がる慶良間諸島や伊江島周辺です。夏に南極海で過ごしたザトウクジラが子育てや出産のためにやってきます。そのため、運が良ければ親子クジラを見られる可能性がありますよ。ザトウクジラは大きい個体だと体長が15mにもなり、群れで現れたところを近くで見るのは圧巻です。少人数制のツアーもあるので、家族や友達同士でじっくり感動を分かち合うのもおすすめです。出発ポイントも、那覇をはじめいくつかあるので、観光ルートに合わせて選んでみてはどうでしょうか。
なお、海に出ると風が強く、水しぶきも飛びますので、防寒・防水の服装で行くことをおすすめします。日差しもあるので日焼け対策も必要です。また、船酔いの不安がある人は乗船前に薬を飲んでおきましょう。
旅行の楽しみ方は観光ばかりではありません。せっかくならリゾートホテルでぜいたくな時間を過ごしてみてはどうでしょうか。オフシーズンは旅行代金が安い傾向にあるので、その分ホテルや食事にお金をかけることができます。夏場は、なかなか手が出ないハイクラスホテルのオーシャンビューの部屋に泊まることだって夢ではありません。海に入ることができなくてもホテルのプールを利用できますし、スパや温泉施設があるホテルもあります。食事もグレードアップして、ホテル内のレストランでおいしい料理に舌鼓を打ったり、バーでトロピカルカクテルを飲んだりして、十分にリゾート気分を満喫することが可能です。
また、冬の沖縄はイルミネーションが点灯される場所がいくつかありますが、ホテルでも行っているところがあります。冬の夜をロマンティックに彩るイルミネーションはぜひ見ておきたいところ。なお、イルミネーションを行っている期間や時間については、各ホテルの公式HPで確認してみてくださいね。
夏の人でにぎわうビーチも良いですが、冬のビーチを散策するのもおすすめです。冬は観光客も少ないうえに、海水の透明度も高いので、ビーチを散策するのにピッタリの時期なのです。冬期間の遊泳は禁止されていますが、天気がいい日はビーチでのんびり過ごすだけでも、ポカポカして気持ち良いものですよ。特に人が少ない離島は、まるでプライベートビーチのような気分で景色を独り占めできます。
那覇から日帰りできる慶良間諸島の中でも、特にダイバーが少ない阿嘉島にある「ニシ浜ビーチ」は穴場。港や集落からも徒歩圏内で行ける場所にあるので、ゆっくりビーチを散策する時間がとれます。
ニシ浜ビーチには展望台もあり、ビーチを一望できるのはもちろん、対岸の座間味島との海峡の景色まで楽しむことができます。阿嘉島には他にもいくつかビーチがあるので、時間が許すなら足を運んでみてはどうでしょうか。レンタサイクルもあるので、利用すれば効率的にまわることができますよ。阿嘉島の他にも瀬底島の瀬底ビーチや、本島恩納村の砂原ビーチなど、散策スポットはいくつかあるので、ビーチ巡りをしてみるのも良いかもしれませんね。
沖縄の冬は過ごしやすい気候であるうえ、海水温も高いのでダイビングやシュノーケリングにはおすすめの季節です。冬にしか見られないような海の生き物にも出会えるチャンスがありますよ。ホエールウォッチングができるのも沖縄では冬だけです。夏の時期は観光客でいっぱいのビーチも、冬はまるでプライベートビーチのように独り占めできるのも魅力的です。海を背景にした写真もこの時期なら取り放題。オフシーズンは旅行代金もリーズナブルなので、思い切ってハイクラスのリゾートホテルに泊まってスパや温泉でくつろぐのもぜいたくな過ごし方です。夏では味わえないリゾート地の魅力を、ぜひ体験してみませんか。